英語をマスターし、英語でスムーズにコミュニケーションができるようになろうとする場合、相手の話を理解するリスニング力がなくては会話は成立しません。
では、日常英会話のリスニングにおいて、いったいどのくらいのスピードの英語を聴き、理解していかなければならないのでしょうか?
ーNHK英会話が分かればOK?
ー英会話学校の先生が話しているのが聞ければOK?
ーTOEIC練習問題で70%の正解率が出せる程度聞ければOK?
いいえ、そうではありません。教材についているCDの英語やテレビの英語番組に出てくる英語は、分かりやすいように、ゆっくり、はっきり、簡単な表現で話してくれているのです。TOEICのリスニングセクションでも非常にはっきりと、聴きやすい英語で話してくれています。
英会話学校の先生も同じです。生徒が分かりやすいような言葉を使い、生徒が理解できるレベルのスピードで話してくれます。私がまだ英会話学校で働いていたときには、よく生徒がこのように話しているのを聞きました。
「レッスンでは、ネイティブの先生の言葉がだいぶ理解できるようになってきたのに、ネイティブの先生同士が話しているのを聞くと全くついていけないのでショックでした。」
日本で聴くことができる英語の大半は、きれいな、はっきりした声の人が、比較的ゆっくり話している英語です。しかし、「最終的にネイティブと問題なくコミュニケーションしていくリスニングレベルはどのレベルか」と聞かれれば、それはズバリ「映画の英語が問題なく聞き取れるレベル」となります。
質問:「映画の英語」がどのくらい理解できますか?
さて、あなたはハリウッドなどの「映画の英語」を字幕なしで見て、何%くらい理解することができるでしょうか?何となく分かるということではなく、日本語でドラマを見ているようにはっきりと、俳優、女優が話したセリフが分かる部分が全体の何%くらいあるでしょうか?
5%? 10%? 50%?
ほとんどの方は、5%くらいではないでしょうか(高校卒業時の私がそうでした)。
なぜそのような予想がつくかというと、日本人の留学生に、ヒアリングテストの調査した結果があるのですが、そのテストの平均点が、何とアメリカの聴力障害者の平均点よりさらに低かった(そんなバカな!!!!)という驚きの事実があるからなのです。
勇気を出して日本を飛び出していく留学生のリスニング能力がそのレベルなのですから、日本で普通に生活している人がどのくらいのリスニング能力があるかというのは想像に難くないと思います。
しかし英語圏では、あの映画の英語のスピードがナチュラルスピード(普通に話されている言葉)なのです。ですから、「映画の英語」が日本語を聞いているようにはっきりと理解できないということは、英語圏の人とまともにコミュニケーションしようとした場合、それこそ「お話にならない」のです。
映画の英語スピードについていき、ほぼ90%~100%の理解度で理解していけるという事が「普通に英語が聞ける」という状態なのです。
これは、日本語を考えれば分かると思います。日本人の大人で、
「日常会話は問題ないのだけれど、映画となると50%位しか理解できない。」
そんな人がいたとしたら、すぐに「おかしな人」と言われてしまいますね。つまり、日常会話が理解できるのであれば、映画の日本語は理解できるし、映画の日本語が問題なく理解できるレベルであるから、日常会話も問題無く理解できるのです。
そもそも、映画というのは日常の様々な場面を映像として記録しているわけなので、それぞれの場面で使われる会話のスピードや使われている言葉のレベルが、日常会話とかけ離れているということはありえないのです。ですから、「日常会話のスピード=映画のスピード」なのです。
英語習得の目標はあくまでも「本物のコミュニケーション能力の習得」だと思います。まともにコミュニケーションできないTOEICのスコアのためだけの学習は全く意味がありません。そのためには、映画のスピードが理解できるリスニングレベルをクリアしていかなければならないのです。
TOEICのスコアのために学習をされている方も多くいらっしゃるかもしれませんが、「映画の英語」が問題なく聞くことができれば、TOEICのリスニングセクションの英語が止まって聞こえます(少し大げさですが、そんな感じです)。「映画の英語」がはっきりと聞き取れる人にとっては、TOEICのリスニングのパートは、「ちょっとふざけた知能テスト」のように感じます(特に似たような音だけで引っ掛けようとしている問題)。
ですから、もし映画のスピードについていけなければ、真のコミュニケーション能力をつけたとはいえず、また、資格試験などでもハイスコアも取れないのだということを覚えておいてください。
「英語の頭」を効果的に作りたい方は → こちらをクリック
コラム1では、最終的にネイティブとスムーズにコミュニケーションができるようになるためには、映画の英語を問題なく理解するリスニング力が必要だということをお話しました。
それを読んで、かなりの方がへこんでしまったのではないでしょうか?
「映画の英語を問題なく理解するリスニング力」というものをかなり高い壁に感じていることでしょう。
ですが安心してください。私自身、英語学習を始めたての頃は、1年間も英語を学習したにもかかわらず、ラジオのニュース、映画の英語が5%くらいしか理解できなかった経験を持っています。あの当時を思い出すと本当に悲惨でした(聞ける英語が「Yes」「But」「I」「However」くらい)。
しかし、現在「映画の英語」は問題なく理解できます。そのためには特別な能力など必要ありません。誰にでも「映画の英語」を普通に聞き取り、理解することができるようになります。ご安心ください。
ですが、それができるようになるためには、絶対にしなくてはいけない大前提があります。それをしなければ、いくら努力しても映画の英語を問題なく理解できるようにはなりません。
では、そのための大前提とは一体何なのでしょうか?それは、
「英語で考える頭を作ること」
分かりやすいように言い換えると、こういうことです。
【日本語に訳さずに英語を英語のまま理解できる頭を作ること】
書店で売られている90%以上の英語参考書には、日本語が英語の文章のすぐそばに書いてあります。実はこの「日本語訳」があなたの英語習得を妨げている「大きな壁」となっているのです。
英語を日本語に訳して理解することは、中学校で英語を学び始めてからずっとやってきました。この日本語訳中心の勉強方法は、本物の英語力をつけることとは正反対のことなのです。
英語の文章を日本語に訳すことほど、英語を理解するスピードを落とすことはありません。というのは、英語の文章を日本語に訳して理解しようとした場合、英語の文章の流れに逆らって文の後ろから訳さなければなりません。ですから、とても時間がかかってしまうのです。落ち着いて考えてみると当たり前ですが、日本語訳をして英語の文章を理解して早いわけがありません。
次の例文を読んで、日本語に訳してみてください。。
"Jim went to the department store with his friend to buy a new sweater for his mother last Sunday."
きっと、次のような日本語になったのではないでしょうか。
「ジムは先週の日曜日、彼のお母さんのために新しいコートを一着買うために、彼の友達と一緒にデパートに行きました。」
それでは、この英文がどのような順番で日本語になったのか見て見ましょう。
一つの文章を理解するために、いちいちこのように解釈していては、ナチュラルスピードで飛んできた音声を理解するのは到底不可能ですし、英文を読むときもペーパーバック数ページを読み終えるのに何時間もかかってしまうことでしょう。
日常会話において、ネイティブスピーカーが普通のスピードで話すときは、1分間に150~180語くらい(読むときの70%くらいの速さ)で話しますから、約1分間で話す量はこのくらいの量になります。
このくらいの内容が1分間の間に音として飛んでくるのです。そうすると、後ろから訳していては物理的にそのスピードに間に合うわけが無いのです。もし、私たちに同時通訳の技術があれば別ですが、同時通訳の技術は英語力のかなりある人が、血のにじむような特訓をして身につける特殊技術ですから、素人の私たちがやろうとしてもできません。
結局、英語の文章を日本語に訳して理解していては、目標である映画の英語には「一生ついていくことができない」と言わざるを得ません。学校英語でやってきた「日本語訳と文法による英文解釈」は単に時間の無駄であるばかりか、私たちを「英語オンチ」にしている元凶なのです。
また、日本語に訳してしまうことにより、元々英語が持っている本来の意味を壊してしまうことがあります。英語と日本語は文化的な背景も、歴史的な背景も根本的に全く違うので、それを、パズルのように頭の中で日本語に「解釈」して理解をすると、当然フィルターを通している分、意味が変わってきてしまうことがあるのです。
例えば、「Stop playing games」という表現を見たときに、「ゲームをするのをやめなさい」という日本語に訳してしまうと、本来持っている英語の意味を表さなくなってしまいます。
「game」の持っている意味の一つに、「a trick or secret plan」と意味があり、英語本来の意味では、「駆け引きはやめよう」とか、「ずるい」「正直に言って」など、もちろん文脈によっても意味は変わりますが、「ゲームをするのをやめなさい」という日本語訳では原文の意味が壊れてしまっているのです。
ベストセラーになった「ネイティブスピーカーの~」シリーズの著者であり、東洋女子短期大学教授の大西泰斗氏は、その著書「英文法をこわす」でこう言っています。
「従来の学校文法では、英語表現の「意味」の記述はほぼ全て、日本語を解して行われている。それが致命的なのだ。そのためにいくら勉強してもlook, see,
watchすら使い分けることのできない学習者が量産されている。」「これらすべてがそれぞれほかにはない独自の存在意義を持っていること、それを示すことができるのは、「訳語」などといった単純なものではない。」「前置詞もまた、日本語訳を通じての学習が絶望的な領域の一つである。(中略)前置詞の持つ広範なニュアンスは日本語訳や用法などの機械的学習ではとてもつかみ取ることができない。この感覚に満ちた世界を取り込むために、訳語は不十分なばかりか、有害ですらある。」
つまり、従来の学校英語で学ぶ、文法知識からの日本語訳は、本来英語の持っている意味を壊し、捻じ曲げてしまう恐れがあるのです。
「英語を日本語に訳さずに理解すること」ができれば、速い速度で英語を理解することができ、また、正しいニュアンスで英語を理解することもできます。つまり、「英語を訳さずに理解する頭」=「英語で考える頭」が、本物の英語力をつけていく大前提となるのです。
「英語で考える頭」を使って英語学習をすると、いちいち英語を日本語に訳しながら学習しているときとは学習にかける時間が全く違ってきます。
英語力をつけるためには、たくさんの英語を読み、聴き、覚える(もちろん、話す、書くも必要です)ということが欠かせませんが、そのときに「訳して英語を解釈する頭」と、「英語を訳さずに理解する頭」とでは、そのスピードの差は10倍以上にもなる場合があります。
例えば、英語を訳しながら読んでいたら5分かかる文章が、訳さずに英語のまま理解できたら、30秒で読めるということはざらにあります。その場合、同じ5分間で読んだ英文量の比は1:10となり、「学校英語の頭」のA君と、「英語で考える頭」のB君では、同じ時間で読む、または処理できる英文の量が10倍も変わってしまいます。
見方を変えると、ある程度の英語力をつけるために必要な学習時間を考えたときに、B君はA君の10分の1の時間で身につけることができるということです(物事はそう単純ではありませんが、違いを表すとそれぐらい違うということです)。
英語学習においては、様々なメソッドが現れては消えていきますが、ほとんどの場合うまくいかないのは、この頭の切り替えがうまくいっていないからです。韓国・日本で何十万部も売れ、ベストセラーになった『英語は絶対勉強するな』でも、ステップ5(最終ステップ)まできちんと終了した方が読者の何%いるかは定かではないくらい少ない人数のようです。
このような良い方法(私は、プラスアルファが必要だと思いますが、上記の本で紹介されているやり方は、正しく行うと大変効果があります)にもかかわらず、多くの方が途中で投げ出してしまうのは、この従来の「学校英語の頭」の切り替えをきちんと行っていない、ということが一つの大きな原因です。
頭をコンピューターに例えると、英語学習は、新しいソフトや教材(メソッド)を古いOS(コンピューター)にインストールするようなものです。古いOS(学校英語の頭)にいくら最新のソフト・教材(メソッド)を入れようとしても、それとは合わずにフリーズしてしまうのです。
ですから、まずはコンピューター(脳)に入っている古いOS(学校英語の頭)を新しいOS(英語で考える頭)にしてから、様々なデータやソフト(正しい英語)を入れていかないといけないのです。
【英語の頭の必要性」がお分かりいただけたでしょうか?
「英語を英語のまま理解するなんて私にできるわけがない。」
なんて言わないでくださいね。貴方も確実にできるようになることは、私が保証します!
次のコラムでは、貴方の頭の中に「英語の頭」を作ることができるという理由を説明していきます。きっと、英語学習に希望の光が差すことでしょう。
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前回のコラムでは、英語習得のために「英語の頭」を作ることが大前提だという話をしましたが、頭の中に「英語を日本語に訳さず理解できる頭を作りましょう!」と言うと、必ず「私には無理だ」と考えてしまう方がいます。
ですが、どのような人でも、能力に関係なく、必ず「英語の頭」を作ることができるのです!
なぜそこまで言い切れるかというと、「英語」ではまだやったことなくても、誰もがもうすでに訳さずに理解している言語を持っていて、日頃から「訳さずに理解する」ということをやっているからです。それを英語でやるだけなので、誰にでも簡単にできると言い切れるのです。
毎日、訳さずに理解していますよね?
「日本語」は。
そうです。訳さずに理解することは、毎日「日本語で」当たり前のようにやっているのです。日本語を理解するときに他の言語にいちいち訳しているでしょうか?
日本語であれば、それを他の言語を介して理解することなどしなくても問題なく理解できますし、日常会話のスピードにおいていかれるなんていうことはありえません。
では質問です。
Q:日本語はどうして訳さずに理解できるのでしょうか?
(読みすすめる前に、この質問を少し考えてみてください。)
どうしてか分かりましたか?
分からない方のために質問を変えて聞き直してみましょう。
Q:いつごろから日本語を訳さずに理解していますか?
そうです。生まれたときからずっと「日本語しかない環境」で育ってきているので、日本語を訳すなんてことは「一度も」したことがないのです。
「日本語しかない環境」で育つと、日本語は日本語のまま理解する頭が自然と出来上がり、仮にアメリカ人だったとしても、日本で生まれ育ち、日本語しか使ってこなければ、必ず日本語を訳さずに理解できるようになるはずです。
Q:その国に生まれると、なぜその国の言語(母国語)を訳さずに理解できるのでしょうか?
普段考えたこともない、という方がほとんどだと思いますが、答えは簡単です。
「その国の言語しか頭に入れてこなかったから」です。
つまり、母国語を訳すための別の言語など頭の中に存在していないのです。
日本で生まれ育ち、日本語の環境にいると、頭の中に「日本語」しかありません。ですから、日本語をいちいち別の言語に訳さずとも、瞬間的に日本語を理解して使いこなすことができるのです。
これを、【日本語の頭】と言います。
貴方も私も、今この瞬間、間違いなく日本語で考えています。どんなときでもそうですね。
「お腹空いたな~。」
「明日朝早く起きなくちゃいけないから、時計を1時間早くセットしよう。」
「昨日、田中さんに電話するの忘れちゃった。」
このように、頭の中では「日本語」が飛び交い「日本語」で思考しています。英語圏の人々は、私たちが子供のころから「日本語」で自然に行ってきたことをすべて「英語で」行ってきただけなのです。
生まれてからずっと、母国語として英語しか頭の中に入れてこなかったので、英語圏に生まれたネイティブスピーカーの頭の中には英語しか存在していません。彼らは英語で思考する以外の方法を知らないのです。
日本人である我々が英語を英語のまま理解するためには、英語圏の人と同じ頭、つまり「英語しか存在しない頭」を頭の中に作ってしまえばいいことになります。
そのときに問題になるのが、今すでに存在する「日本語の頭」です。すでに完成している「日本語の頭」が頭の中にあるので、その中に英語をいくら詰めてみたところで、英語と日本語が混ざってしまいます。
※間違った「英語の頭」の作り方:(「日本語の頭」の中に英語を詰め込む)
それでは、今までと同じ「効果の出ない結果」にしかなりません。ですから、日本語の頭の中に英語を入れるのではなく、その日本語の頭の外に、英語で考える、英語しかない頭を作る必要があるのです。
※正しい「英語の頭」の作り方:(「日本語の頭」の外に新しく「英語の頭」を作る)
このようにして、「日本語の頭」の外に「英語の頭」を作る事ができれば、あなたもバイリンガル(二ヶ国語を操る人)の仲間入りです。その頭は、貴方が思っているよりも遥かに簡単に作ることができます。
あなたも、本物の英語力をつけるための基本である、「英語の頭」を効果的に作ってみませんか?
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